ゴミや吸い殻は廃棄物処理法の定める廃棄物です。同法第16条では「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定められ、違反すると5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金で処罰されます。
隣家の庭へのゴミ捨てには正当な理由はないので「みだりに」捨てることに該当しますが、この罰則は廃棄物の悪質な不法投棄を想定したものですから、庭へのポイ捨てに適用するのは大げさすぎます。
しかし、市町村によっては、通称「ポイ捨て禁止条例」を制定しているところがあります。規制の対象は、道路、広場、公園、河川などの公共の場へのゴミ投棄ですが、必ずしもそれに限定しておらず、条例によっては個人の管理地などへの投棄も禁止されている場合もあります。
そして、違反があると自治体が立ち入り調査をして、中止や原状回復を求め、従わないと罰金などの罰則が定められた条例もあります。
このような条例がある市町村にお住まいであれば、被害状況や防止のために試みた努力などを整理して、役所の環境整備の係に相談されることをおすすめします。
また、あまりに程度がひどかったり、たばこの火で火事の心配がある場合には警察へ相談することも考えられます。
今後、隣地にご質問のような懸念があるマンションが建築される場合は、あらかじめ建築主との間で環境保全への責任を明確にした協定を結んでおくとよいかもしれません。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2021年3月25日