FX(外国為替証拠金取引)の取引環境は、店頭FXと取引所FXの2種類がある。取引所FXは東京金融取引所が提供する「くりっく365」でトレード可能だが、はたして店頭FX会社の取引環境と何が違うのだろうか。FXなどのカリスマ主婦トレーダーとして知られ、また「くりっく365」ユーザーでもある池辺雪子さんがそのメリットと注意点を紹介する。
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くりっく365は現在15社を通して利用でき、FX専業会社や証券会社だけではなく一部銀行でも利用可能となっています(2021年3月22日時点)。くりっく365の為替レートは国内外の主要金融機関から価格を提供してもらい、その中から最も有利な価格が顧客に提示される仕組みです。
コスト面においては、店頭FX会社と比べてスプレッド(売値と買値の差)の広さを指摘する声もあるようですが、私は特に気にならず、それ以外の取引環境に多くのメリットを感じているので、くりっく365を長年利用しています。さらに、南アフリカランドやトルコリラといった、日本人トレーダーが好きな高金利通貨も取引可能で、スワップポイント(金利差損益)も買いと売りの金額は同じ額に設定されており、金額自体も良心的だと思います。
くりっく365を提供できる会社は、資本金や自己資本比率などに関し店頭FX会社の要件よりも厳しい審査を受けるため、そうした点で一定の信頼はおけるでしょう。
FX取引を検討する上で、FX会社が破綻した場合に預け入れ資金がどうなるか、心配する人もいるでしょうが、くりっく365では顧客が預け入れを行った証拠金は全額取引所に預託するため、万が一くりっく365を提供する証券会社などが破綻しても、顧客の資産は保護されます。私自身も一度くりっく365で利用していた業者が破綻したことがあるのですが、資金は問題なく戻ってきました。
【※現在、国内の金融庁認可のFX会社はすべて「信託保全」が義務化され、顧客が預けた証拠金はFX会社の資産とは別に管理される】
ちなみに古くからのFXトレーダーの中にはくりっく365に税制面のメリットがあると認識している人もいるかもしれませんが、2012年1月の税制改正により、国内の店頭FX会社でもくりっく365同様に「申告分離課税」が適用されるようになり、3年間の損失繰越控除やその他先物取引などの損益通算も可能となりました。税制面では他の店頭FX会社と変わらなくなっています。
私は長年くりっく365を利用しています。しかしもちろん、くりっく365で取引すれば必ず勝てるというわけではありません。しっかりとテクニカルで考えて、リスク管理を行いながらトレードすることで利益が積み上がって行きます。感情に任せたトレードは失敗の元ですので、その点をしっかり踏まえて取引することが、成功への近道だと思います。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)