贈答品として「ビール券」をもらったことはあるだろうか? これは全国酒販協同組合連合会が発行する、ビールと引き換えができる「ビール共通券」のことだが、実際に使おうとすると、とにかく混乱が多いという。東京から佐賀県唐津市に移住するにあたり、餞別として大量のビール券をもらったネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、実際にビール券を使って買い物した際の様々なパターンを紹介する。
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私の場合、ビール大好き人間を公言してきたため、引っ越し時の餞別として大量のビール券をいただきました。本当に、示し合わせたかのように5人の方々がビール券をくれたのです。引っ越しからもうすぐ6か月、ようやく残り3枚となりました。
券面に「缶350ml 2缶」「びん633ml 2本」と書かれた2種類があるのですが、これまで47年の人生でビール券をもらうことなどなかったため、「とにかくこの券1枚を会計時に渡せば350ml缶のビールを2本タダにしてくれるんだろうな」などと思っていました。が、事はそう単純ではありませんでした。実際に使おうとすると、店によって対応がまったく異なる現実があるのです。
かなり多いパターンが、スーパーのレジ打ちの店員が「これって何?」と困惑する点です。ビール券を見て何をしていいのやら分からず、責任者やベテランを呼び、指示を仰ぐ。その間、レジ待ちの列は長くなり、いたたまれなくなって「もう、現金でいいです……」とこちらは言うことになります。ビール券には「有効期限2028年3月31日」と書いてあるので、あと7年あるから、その間にどこかで使えばいいのか、という感覚になります。
同じスーパーであっても「扱いが分かる店員・分からない店員」がいます。ですからビール券を使う場合は、「前回対応してくれ、扱い方が分かっている店員」のいるレジを選ぶことになります。その店員がレジにいない場合はもう諦めて、現金払いにします。
私がもらった「缶350ml 2缶」のビール券は、「488円分の金券」という扱いのようです。とはいえ、ビールの価格は店によって違います。1本168円の店もあれば、209円の店もあります。それでも、このビール券は「1本244円」という計算によって成り立っています。だからこそ会計時に混乱が起こりやすいのです。