介護・終活・相続といった問題は、親が年を取るほど身近に迫ってくるが、言い出しにくさから後回しにしている人も多いだろう。だが、そうこうしているうちに親が病気になり、気づけば手遅れ……ということにもなりかねない。
だからこそ、親子の間で話題にしにくいことも、この際に話しておく。相続や介護の問題に詳しい「夢相続」代表の相続実務士・曽根恵子氏はこう言う。
「親御さんが亡くなった後に相続の話を始めると作業も難しく親族間のトラブルにもなりやすい。意思判断のしっかりしているうちに、相続準備を始めましょう」
まず必要になるのは、相続人の調査だ。親が戸籍収集(本籍地を変更している場合、すべての自治体の役所で戸籍謄本を取り寄せる必要がある)をして、相続人が誰かを確定しておく。
その上で、実家に相続人全員を集めて家族会議を持ちたい。後々トラブルの種とならないよう、不参加者が出ないようにするのがポイントだ。
そこで保有する預貯金や不動産、有価証券などをチェックして財産目録を作成する必要がある。
「決まった書式はありませんが、不動産から始め、続いて金融資産の確認をします。親世代の預貯金はいくつもの金融機関に分散してあることが多く、子供は把握しきれない。財産目録作成をきっかけに預金口座をまとめても良いでしょう」(同前)
その後、家族会議で決まった内容をもとに自筆証書遺言を作成する。全文を親の手書きとし、氏名・日付の明記や捺印など必要な条件を満たした上で、「何を、誰に、どれだけ」渡すか具体的に明記し、封をする。
一連の話し合いを進めるなかで、相続税対策として生前贈与を検討する。
「年に110万円までは贈与税の非課税枠となり節税できますが、贈与税逃れを疑われないために111万円を毎年贈与し、1万円分の贈与税を払う手もあります」(税理士)