リモートワークを経験したことで、長い時間をかけての通勤がいよいよ嫌になったという人もいるようだ。もちろん、通勤時間を短くしたければ、会社の近くに住んでしまえばよいのだが、あまり近すぎても面倒なことは起きる。会社が近すぎて“悲劇”に遭った人たちの事件簿を紹介しよう。
Aさん(20代/女性)は、つまらぬウソをついたばかりに、四面楚歌の状態に陥った。
「高校卒業後に就職した会社は、実家から歩いて2~3分の場所にある会社でした。通勤は楽でしたが、安月給でサービス残業だらけ。1年ちょっとで辞表を出したら強く慰留され、とっさに『親が病気で……』と、ウソをついてしまいました。
社長は大層心配して、お見舞までくれましたが、近所なので両親がピンピンしていることはあっという間にバレてしまい、両親からは呆れられるわ、元同僚から『社長がカンカンに怒っている』という情報が伝わるわの大騒ぎ。実家の居心地は最悪でしたし、会社の前を通らないように遠回りをして、最寄り駅を使えない生活がしばらく続きました」(Aさん)
フリー編集者のSさん(40代/男性)は、20代から30代にかけて仕事がなく、長らく貧乏生活を送った苦労人。30代の頃に超有名企業から継続的に仕事をもらうようになり、生活は安定したが、忠義を尽くし過ぎたことで体を壊した。
「30代半ばまで細々とした仕事しかしていなかった私ですが、縁があって大手企業に出入りするようになりました。仕事は面白く、ギャラも良いのですが、欠点は人使いが荒いこと。通勤で体力を使いたくないのでオフィスのすぐ近くに引っ越したところ、完全に便利屋扱いされ、時間を問わず『今からちょっと会社に来られない?』と電話が掛かってきたり、『歩いて帰れるよね?』と深夜まで残業させられたりして、半年で体を壊しました」(Sさん)
他の社員から「住み込みの人」と言われて…
いくら給料が良くて、仕事内容が面白くても、身も心も休まらないようでは、人間の体は壊れるようにできている。もっと会社に近かったのは、建築資材の会社に勤めるYさん(30代/男性)。社員寮に住んでいて、今の通勤時間は0分だ。