「私の会社は入社当時、本社が大手町にありました。従業員数が100人ほどの小さな会社ですが、業界では老舗。しかし、長引く不況で仕事はジリジリと減り、リーマン・ショックでも大打撃を受け、経費削減のため、郊外にある社員寮を一部改造して本社にしました。完全に“都落ち”です。
社員の士気は大いに下がりましたが、とりわけ悲惨なのは、私を含めて社員寮で暮らす社員たちです。コロナでリモートワークをする社員が増え、『俺の机の上に書類がないか見てくれ』だの、『請求書の期日が今日までだったから、ちょっとハンコを押しといてくれ』だの、『○時に荷物が届くから受け取っておいてくれ』だの、しょっちゅう雑用を頼まれます。
クライアントと出くわすかもしれないので、寮を一歩出れば常に軽い緊張状態ですし、有給を取っても、近所をウロウロしていると同僚や上司に会うので休んだ気がしません。妻は『化粧をしないとゴミも出せない』と、ブーブー文句を言っています。寮に住む社員を『住み込みの人たち』とバカにするヤツもいて、本当に腹が立ちます」(Yさん)
それなら寮を出ていけば良いが、「不況で給料がちっとも上がらないので、出るに出られない」状態だとか。Yさんが車を買い替えた時には、昼休みに社員が車のまわりに集まって「いくらしたんだろうね」と、話していたこともあり、YさんのストレスはMAX状態だそうだ。