5月11日までとされる3回目の緊急事態宣言。東京、大阪などの対象地域では酒類やカラオケを提供する飲食店等に休業要請が出されるなど、これまでのものと比べて一段と厳しい内容になった。一方、この1年以上の間に飲食店でも新しいサービスが充実してきており、飲食店のテイクアウトサービスも広く普及した。そんなテイクアウトを頻繁に使用しているという、ある30代男性公務員が抱える悩みとは。フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は4都府県に対し3度目の緊急事態宣言を発令。酒類の提供の終日停止や、1000平米以上の商業施設や遊興施設などにも休業要請が出されるなど、感染拡大防止に努めた行動を求められることとなった。今年もステイホームを強いられるゴールデンウイークとなっている。
休業要請や時短要請をされている飲食店やそれらに食材などを卸す会社は、苦しい状況が1年以上も続いている。帝国データバンクの調査によると、2020年の飲食店の倒産は780件で過去最多だった。政府などから「協力金」が出されているものの、それでは賄いきれないのが多くの飲食店の現実のようだ。
コロナ禍で大変な飲食業を応援したい気持ちからテイクアウトを利用しているという都内在住の公務員、多田雄介さん(仮名・34歳)に話を聞いた。
「食べることが趣味なので、飲食店へ足を運びづらい状況に窮屈さを感じているのが本音です。今はテイクアウトを利用して自宅でお店の味を楽しみ、微力ながら飲食店を応援しています」(多田さん、以下同)
テイクアウトの場合、食べきれなかった分は翌日も楽しむこともできる。また、外食時のお通し代や飲酒代がかからず節約にもつながったと、多田さんは非常に満足しているようだった。しかし最近はちょっとした悩みも出てきたという。
「最初はメイン料理を1品程度でしたが、最近は2品ほど多く注文することが増えました。財布のひもを締めなおさなくちゃと思ったのですが、行きつけの店主から『いつもありがとう! 本当に助かるよ!』と言われ、僕が応援しなくちゃ! と強く思うようになったんです」