2020年4月に発令された1回目の緊急事態宣言下では“不要不急”の象徴としてパチンコ店が大きな注目を集めた。多くの店舗が休業となったが、一部店舗が休業要請に応じず営業を続け批判の目に晒されたことは記憶に新しい。あれから1年、今年のゴールデンウィークも1都3府県で3回目の緊急事態宣言が発令されているが、パチンコ店の様子はどうなっているのだろうか。
今回、パチンコ店については、床面積の合計が1000平方メートル以上の店舗に対しては休業要請、1000平方メートル未満の店舗に対しては休業の協力依頼という形になっている。パチンコ業界に詳しいライターの藤井夏樹氏はこう話す。
「東京都のパチンコ・パチスロ店による業界団体である東京都遊協は、緊急事態宣言発令前の4月22日に、小池百合子東京都知事に向けてパチンコ店を休業の対象に含まないように要請する文書を送付しています。これまで、パチンコ店ではクラスター(集団感染)が発生していないことや、万全な感染対策を行っていることを説明し、理解を求めていたわけですが、実際には休業要請の対象になりました」
東京都遊協は4月27日に行われた4月定例理事会にて、宣言にどう対応するかの話し合いを実施。パチンコ・パチスロ店営業における新型コロナウイルス感染症の拡大予防ガイドラインを徹底するとともに、告知広告などの掲示・宣伝の禁止、20時以降のネオン・看板照明の消灯を徹底するよう、各店舗に要請することを決議した。
「休業要請は出されていますが、実際に休業するパチンコ店は少なく、多くのホールが営業を継続している状況です。昨年の1回目の緊急事態宣言の際には、世間から強いバッシングを受け、多くのホールが休業し、都内では62店舗が廃業に追い込まれたと言われています。経営的に厳しいホールも多いということで、東京都遊協としては“休業を強いることはできない”という方向性に進んでいるのでしょう。
ちなみに、ホールにおける感染対策に関しては、昨年から徹底して行われており、今回の緊急事態宣言によって特に大きく変わった様子はありません。時短営業となるホールもほとんどなく、変わったのは夜のネオンサインが消灯されていることくらいです。客の数については、ホールによってまちまちです。元々人気が高いホールは、ゴールデンウィークということで、混雑していますが、あまり人気がないホールは普段よりも客数が少なめで、経営的に厳しい状況が続いていることが予想されます」(藤井氏)