コロナ禍になって以降、「お取り寄せ」が盛んになっている。過去に「ふるさと納税」を多数利用して地方の物産をお取り寄せしてきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏は今、生産者が直接出品する「ポケットマルシェ(ポケマル)」や「食べチョク」などのサイトを利用することが増えたという。中川氏がそれらサイトを利用してお取り寄せする楽しさを紹介する。
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これまでずっと「ふるさと納税」をやってきたのですが、人気の海産物などは数か月待ちだったりしましたし、私も昨年、セミリタイアをして年収が激減したので、税金面での優遇目当てでふるさと納税をするインセンティブはほぼなくなりました。
そもそも、フリーだと毎年の年収がいくらになるか分からないので、「〇万円分までやれば節税になる」といったことが分からず過去に“寄付し過ぎ”てしまった思い出もあります。
とはいえ、ふるさと納税をやったことで、地方の特産品を家で食べられる喜びに気づいたのも事実。もちろん通常の通販サイトでも食材は買えますが、なんだか「今だけ500g増量!」「限定〇個!」「満足度98%!」みたいな、とにかく「オラ、買え、買え、この貧乏人が!」的なあのデザインが苦手でして……。
そんな中、ポケマルや食べチョクは「顔が見える生産者」から直接購入することができるので、ダサい言い方になりますが「どこかぬくもりがある」と感じられるのです。先日は、これらのサイトに出品している佐賀県の農家の男性と話す機会があったのですが、こう言っていました。
「これまでも通販サイトを使っていたことはありますが、クレームがポケマルや食べチョクの方が少ないです。かつてはサイズがバラバラだったりしたら『不揃いだ!』なんて怒られることが多かったです。こちらもバラバラであることは明記していたのですが……。しかし、それはお客さんからしても『きちんとしたサイトで買ったのに不良品を掴まされた』と思ってしまうのでしょう。
一方、ポケマルや食べチョクでは『農家の人が手作業で箱詰めしているし、できるだけ新鮮なものを届けようと頑張ってくれているから文句を言う気にはなれない』と思っているのか、クレームは少ないです」