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1000円カットの元祖がさらに進化 社長が語る「QBハウス」の現在地

キュービーネットホールディングスの北野泰男社長

キュービーネットホールディングスの北野泰男社長

「戦略」よりも「現場」が重要

──そしてあおぞら銀行からキュービーネットに転職。なぜバンカーが理容業界に?

北野:当初は自分で事業を興そうと考えていました。しかし、起業するには意思決定を経験するキャリアがまだまだ足りない。そう悩んでいるところにご縁があった。

 キュービーネットは日債銀と取引がありましたし、私自身、QBハウスの顧客として親近感を持っていた。業界のしがらみや規制に果敢に挑む優秀なアイデアマンの小西國義さん(キュービーネット創業者・故人)に魅力を感じていたことも大きかったですね。

──転職4年で、小西氏からバトンを引き継ぎ、社長に就任します。まず取り組んだことは?

北野:私が転職した前後の2004年から2006年は、QBハウスの大量出店をかけた時期でした。しかし、急速な出店ペースに店舗のオペレーションや人材教育が追いつかず、収益も急降下してしまった。

 現場が疲弊していては、どんなにいい戦略を立てても長続きしない。まずは「この会社は働きやすい」「頑張り甲斐がある」という環境を作っていくべきと考えました。

 そこで一旦出店ペースを緩やかにし、運営手法もフランチャイズ方式から直営方式に切り替えていった。いまでは7割が直営店で、スタイリストの教育や福利厚生面も含め、1人1人が安心して働ける職場づくりを重視しています。

 その効果もあり、10年ほど前には全体の1割に満たなかった女性のスタイリスト比率が、今では3割を超えています。女性スタイリストが増えることで、これまで少なかった女性客が徐々に増えるなど好循環を生んでいます。

──新たなビジネス展開は?

北野:現在、国内のQBハウスは600店弱で理髪料金は1200円(税込み、以下同)ですが、昨年からは、お客様の多様なニーズに応えるため、レギュラー店とは別に「QBプレミアム」という、料金1650円のお店も増やしています。

「安さ」がセールスポイントではありますが、ただ価格競争に明け暮れていたのでは、消耗戦で先がありませんから。

──レギュラー店とプレミアム店の違いは?

北野:「QBプレミアム」では、全店のスタイリストがお客様の理髪履歴の電子カルテを共有できる仕組みを作っています。髪型や髪質などもデータに残しているので、旅行先や出張先でも地元の店舗と同じカットを実現できることを目指して、仕上がりのクオリティをもう一段高めたいと考えています。

 髪型についてお客様がスタイリストと相談することが少なくなるので、感染拡大防止に役立つとも考えています。

「QBプレミアム」で提供するこれらのサービスを、行く行くは我々のスタンダードにしていきたいですね。

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