住環境が住人の健康にもたらす影響は大きい。特に梅雨入りして湿度が高くなるこれからの季節は、カビやダニの増殖が問題視される。カビの胞子は主に呼吸器症状に影響し、ダニはアレルギーを引き起こす恐れがある。
カビやダニが発生しやすい家には以下のような特徴がある。「住まいの権」代表で住環境アドバイザーの上郡清政さんが指摘する。
「まず、外出先から帰ってきたら、玄関のにおいをかいでください。空気の入れ替えが不充分で湿度が高い家はカビの繁殖が考えられ、特有の嫌なにおいがするはずです。
次は廊下とトイレです。スリッパを履いて歩いたとき、スリッパの裏が床にペタペタと張りつくような音がする場合は要注意。その音は、湿度の高さが原因で床の汚れに雑菌が生え、それがはがれるときの音です。スリッパの裏にネチャつきを感じる場合、家全体がカビやすい状況だと推測できます」(上郡さん・以下同)
結露のリスクをチェックする際は、窓を見てほしい。ガラスが結露しやすい窓は、窓枠にカビが生えている危険がある。
「住宅の中で、いちばん熱の出入りが激しいのが窓ガラスです。結露してカビが生えていれば、当然ダニも繁殖していると考えるべきです。中でも、特に外気との温度差が激しく、湿気も多い浴室の窓は問題。できれば浴室には窓をつけず、強弱が調節できる換気扇のみがあればいい」
浴室の換気は、入浴中は「弱」で稼働させ、最後の人の入浴が終わったら「強」にして2時間くらい乾燥させる。その際、浴室のドアは1cm程度しか開けないこと。開けすぎると、浴室にこもった湿気が脱衣所まで広がるため効率が悪くなるうえ、脱衣所がカビやすくなる恐れがある。
換気の問題は立地条件も大きく影響
換気の基本は、家の中の各部屋の空気がごちゃ混ぜになるのを避けることだ。空気の「入口」と「出口」を設けることを意識し、ドアと対角線上の窓を開けたり、階段の下と上の窓を開け、階段を「煙突」のように使うのもいい。
「換気を適切に行うことで、湿度が高くてカビやダニが繁殖しやすい家であっても、改善のきっかけとなります。新築やリフォームを検討している場合は、部屋の中に『排気口』を、廊下側に『給気口』を設置するといい。さらに、冷暖房器具は部屋ではなく廊下に備え、家全体の温度差をコントロールする家づくりを意識しましょう。部屋にエアコンがないことで、冷房の風を直接体に浴びることが避けられ、体調を崩しにくくなります」