9都道府県に発令中の緊急事態宣言も再延長され、まだまだコロナ禍が終わる気配は見えてこない。人流抑制の観点から、働く人たちもテレワークが推奨されているが、そうした中で「以前より出社頻度が増えた」という人もいるようだ。在宅でできる仕事にもかかわらず、わざわざ通勤してまでオフィス勤務にこだわるのには、どんな理由があるのだろうか。
メーカーに勤める30代の男性・Aさんは、会社の方針に翻弄されている。コロナ禍が始まった当初は在宅勤務をするよう厳命されていたが、その後、課内の話し合いのうえで在宅勤務か出社かを決めるよう方針変換され、勤務形態は二転三転してきた。そうした中で、Aさん自身は「なるべく出社」を選んでいるという。
「確かに在宅勤務のほうが楽な部分はあります。通勤時間がない分、朝は寝ていられますし、勤務中の息抜きも自由。でも、オフィスのほうが、他の人が何をやっているか視覚的に把握できるし、何より仕事に必要な設備が揃っているというメリットは大きいです。在宅勤務だと、結局集中力が途切れてしまいがちだし、ダラダラしてしまう。今は在宅勤務をするにしても週1くらいが丁度良いと感じています」(Aさん)
IT企業に勤める30代の女性会社員・Bさんも、出社のほうがいいという。「在宅勤務のほうが楽というのは幻想」とため息をもらす。子供がいる家庭で在宅勤務する場合、仕事のほかにも家事と育児の3つを並行せざるを得ないためだ。
「いくら『仕事中』だといっても、親が家にいれば小さい子供は遊んでしまいますし、こちらも気になります。仕事量は出勤時と同じなのに、その合間に家事と育児に時間が取られるわけですから、結局子供を寝かしつけた後に残った仕事を片付けることになり、毎日大変でした。出社なら仕事だけをしていればいいわけですから」(Bさん)