妻からの反論に夫は納得いかない様子
Aさんは夫からの突然の要求に困惑している様子だったが、逆に妻に収入アップを要求する夫には、どんな思いがあるのだろうか。メーカーに勤務する30代の男性・Bさんは、かつて妻に「もっと稼いでほしい」とお願いしたことがあるという。Bさんが語る。
「大学時代の同窓会で、夫婦ともに公務員、夫婦ともに大手企業という例を目の当たりにして、正直、『羨ましい』と思ってしまいました。男性側の年収は自分とそれほど変わらないのに、妻の年収次第で世帯年収が大きく変わってくる。持っている車のグレードも高いし、海外旅行にバンバン行くというような話も、世帯年収が高いからだと思いました。だから妻に収入アップをお願いしたんです」(Bさん)
Bさんの年収は約500万円。妻は家族経営の小さな会社で事務員をしており、年収200万後半といったところだった。Bさんは妻に年収アップのための「転職」を提案した。それを受けて、妻は即座に反発。「考えが甘い。最初から、私の年収はわかっていたこと。また私の年齢とキャリアでは、年収アップの転職は難しい。仮に転職できても、ずっと勤められるかはわからないから、今の会社でずっと働きたい」というものだった。
Bさんは、「確かに、結婚当初はわかっているつもりでした。でも、生活や価値観って変わるじゃないですか。マイホームの購入を見据えて、世帯年収を上げたいのに……。僕が年収500万円から700万円に上げるのは無理でも、妻が200万円から400万円に上げるほうがいける気がするんですよね」と納得がいかない様子だ。
「なんなら俺が専業主夫やるからさ」で妻の逆鱗に
結果的に妥協点を見つけて、お互い世帯年収アップに動き出した夫婦もいる。最近、パートとして働きだした30代の女性・Cさんは、一昨年子供が生まれた時に、それまで働いていた職場を退職せざるを得なくなった。その際、職場の理解のなさから、メンタル面でもダメージを受けたという。
もちろんCさんの夫もそうした経緯を知っている。それでも今は“普通”に日常生活を送っているCさんを見て、「CはK大卒で俺より優秀なんだし、もっと稼げるだろ。絶対、俺より年収いけるって」と発破をかけてくる。そんな夫について、Cさんは、「夫の魂胆はわかっています。結婚して、独身時代より飲食や趣味のお金を制限されるようになったのがストレスなんでしょう。私が働けば、好きに使えるお金が増え、独身時代のように暮らせると思っているんです」と吐き捨てる。