子に介護を断わられたために、負け組人生に転落するケースは少なくない。介護アドバイザーの横井孝治氏が解説する。
「まず、自分で何とかしようとすると『認知症の兆候を見逃す』ケースが多い。子供が近くにいないと些細な変化に気づきにくくなります。自宅で転んで骨折して入院し、認知症を発症したのに、それが放置されて要介護度が上がってしまうというパターンがよく見られます」
認知症が発症してからでは、お金の管理が難しくなり詐欺などに遭うリスクが高まるだけでなく、介護施設探しなどにも困難が生じる。最悪のパターンは、「気づいた時には手遅れ」の状態に陥っていることだ。
それを防ぐには、事前の対処が必要になる。子供が「付きっきりで面倒は見られない」と言い出すことを前提に、次善の策を講じるのだ。横井氏が指摘する。
「病院への入院時、介護施設への入居時、延命治療の意思確認などには必ず身元保証人か身元引受人のサインが必要になります。最低限、いざという時に連携が取れるように子供と約束をしておきたい。
そして、介護保険の申請の仕方や介護保険サービスの仕組みについては、自分自身で把握しておくことが重要になります」
介護保険のサービス給付を受けるには、市区町村の窓口か地域包括支援センターで要介護認定を申請する。認定されれば、ケアマネジャーが介護プランを立ててサービスを受けられるようになる。
ただし、財産の管理や日常生活の見守りといった介護保険サービスでカバーできない部分もある。
「そこで、『代理人カード』や『日常生活自立支援事業』といった制度を使いたい」と、横井氏。