ライフ

私有地への無断駐車に腹を立て、鎖で出られなくしたらどうなるのか

 例えば、無断駐車者を特定するために必要な時間や、無断駐車を告げて今後の再発防止を求めるなどの行為に必要な時間など、合理的な範囲を超えてもなお自動車を出させない場合は、自動車所有者の権利を侵害する不法行為になります。出したいのに鎖で塞いで自動車を出させないと、あなたが出ることを妨害しているので、自動車があなたの土地を違法に侵害していることになるか疑問ですし、損害が継続するとしても、あなたの行為により発生するのですから、相手に賠償の請求はできません。

 その一方で、あなたが相手に自動車を使わせなくしたため、例えば相手がタクシーに乗ったり、代車を使ったりせざるを得なくなったとすれば、あなたの不法行為による損害として相手は賠償請求できます。無断駐車に比べてずっと証明のしやすい損害です。

 そこで、このままの状態が継続して、相手があなたに自動車の引き渡しと損害賠償を請求する裁判を提起してくると、反論は難しいと思います。一定の謝罪があれば、自動車を出してあげ、今後は無断駐車をしないと約束してもらうのがよいでしょう。自動車が自由に出られない鎖の設置ができるのですから、これからは、その鎖で無断駐車を防止してはいかがでしょうか。

【プロフィール 】
竹下正己 (たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。

※女性セブン2021年7月15日号

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。