家を出た子供のうち、4人に3人が実家に荷物を放置しているという調査結果がある(2019年、サマリーポケットによる『お子様の荷物に関する調査』調べ)。その量については、回答者の半数以上が、なんと、「押し入れ1個分以上ある」と答えている。
「かつて私も段ボール3箱分の荷物を実家に置いていました」と整理収納アドバイザーの長谷由美子さんは振り返る。
「あるとき中身を見たら、カセットテープや手紙、お店のマッチばかりでした(笑い)。このように、実家に置き去りの荷物の多くは不要な物。手元に置いていないのがその証拠です」(長谷さん・以下同)
多くの親は、子供が残した荷物を持て余しているが、子供が実際に片付けを申し出ると、渋られることが多いという。
「親世代は、物を捨てるのはもったいないという意識が強い。これまで、実家の整理に関する相談を多数受けていますが、よく聞くのが『死んだら捨てて』という親御さんのせりふです。
そのときは軽く受け流していても、実際に亡くなった後、残された家族は、すべてが大切に思えて、何も捨てられなくなるんです。それに、一般家庭の荷物の整理(ゴミ撤去)には40万~50万円かかるという現実もあります」
自然災害も多い昨今、家に物があふれたままでは安全面でも不安が残る。「いまから少しずつでも片付けを始めた方がいい」と長谷さんは指摘する。
「まずは親御さんと話をすることです。『実家の整理ってお金がかかるらしいよ』とか『亡くなった後だと捨てられなくなるんだって』から始まり、家の中の物を一緒に見直してみようと提案するのです。
押し入れや納戸に眠る“開かずの箱”を開き、家に何があるのかを確かめながら『不要な物』と『残しておきたい物』をみんなで分類しましょう。そして、保管すると決めた物は、特定の箱に種類別にどんどん入れていく。この『不要』『保管』の分類だけで、家の中はかなり整理されるはずです」