住み慣れた自宅で最期を迎えたいが、看取りに際して子供を頼れないというケースもあるだろう。そういった場合は、訪問医療が必要になる。介護・暮らしジャーナリスト太田差惠子氏はこう指摘する。
「その場合は、在宅療養支援診療所を探します。かかりつけ医に紹介してもらうのが望ましいですが、日本訪問診療機構のホームページから検索することも可能。24時間体制で連絡を取れる診療所が見つかれば、高齢夫婦だけの世帯や単身世帯でも安心できます。在宅療養支援診療所は緊急時には入院できるようにベッドを確保しているんです。何かあったら入院もできるので、家族に頼りたくなければ元気なうちに目途をつけておくのがいいのではないか」
医療費の負担についても、子供の支援がないことを前提に、公的制度のフル活用を考えたい。1か月の医療費の自己負担が一定額を超えた場合に還付が受けられる高額療養費制度について、「若い世代の手を借りなくても、手続きすることは十分に可能」と解説するのはファイナンシャルプランナー・小谷晴美氏だ。
「昔は自己負担が上限を超えているか自分で調べて手続きをしなければいけなかったのが、今は上限額を超えていれば通知が来ます。75歳以上で後期高齢者医療制度の場合は広域連合から、国民健康保険の場合は役所から通知が来て、必要事項を記入して提出すればいい。75歳以上の人で一度申請したことがあれば、次からは自動で振り込まれるようになります。医療費が高額になると事前に分かっているなら、『限度額適用認定証』を取得しておくことで、医療機関の窓口での支払いの段階で上限額以上を自己負担する必要がなくなります」
高額療養費については、“子供に頼るほうが不利”になるケースがあることも知っておきたい。
「収入がある現役世代の子供の扶養に入ってしまうと、高額療養費の自己負担上限額が高くなってしまって、かえって損になることもあるので注意しましょう」(小谷氏)