依然として収束する気配が見えない新型コロナウイルスの感染拡大。万が一の時のために、医療保険への加入を検討する人も多いだろう。だが、保険は「マイホームの次に高い買い物」といわれる。安心を買うことができる反面、支払う保険料と給付金のバランスも考えて慎重に決断しないと思わぬ出費に悩まされることもある。
約1年前、都内在住の主婦・吉川由紀子さん(57才・仮名)は、コロナの蔓延をきっかけに、慌てて医療保険に加入した。ところが、いまは不安になっていると話す。
「入院すると1日5000円の給付金が受け取れて、月々の保険料は3500円ほどだと聞いて、“これなら何かあったときに助かる”と思って入りました。ですが、よくよく考えてみれば、もらえるのは2週間入院して7万円。
これまで1年間で4万2000円払ってきて、もし10年入り続ければ42万円、20年なら84万円も払うことになります。幸いコロナには感染していませんが、この先何があるかわからないので、とりあえず保険料を払い続けています。でも、入院しなければ1円ももらえないし、解約した方がいいんでしょうか……」
生命保険会社での勤務経験を持つファイナンシャルプランナーの横川由理さんが言う。
「そもそも、新型コロナは指定感染症なので、かかる医療費は全額公費負担です。基本的に自己負担はゼロで、無症状の場合の検査であっても、自己負担額は最大3万円程度。確かにコロナで入院すれば給付金は受け取れますが、微々たる額のためにわざわざ高い保険料を払って医療保険に入る必要はありません」
ただし、コロナの後遺症については、公費負担にはならないので、慎重な検討を。
※女性セブン2021年7月29日・8月5日号