お金の貸し借りには何かとトラブルが伴うもの。もしも、「貸した」「借りてない」で揉めた場合、どうすればいいのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
夫婦で小さな喫茶店を営んでいますが、アルバイトのAさんとの金銭トラブルで困っています。Aさんとは3年ほどのつきあいですが、シングルマザーで大変だと聞いていたため、家の引っ越し代や育児にかかるお金が足りないときに数万円ずつ貸し、総額25万円ほどになりました。
Aさんがアルバイトをやめることになったので、「借金を返してほしい」と言ったところ、「お金は借りていない」の一点張り。借用書は作っていなかったのですが、お金を返してもらうことはできますか。三重県・中沢香苗(60才・自営業)
【回答】
あなたが店員のAさんに貸したお金を返すように請求するには、まず2人の間で金銭の授受があったことがすべてのスタートになります。この点で問題がなければ、Aさんが返済義務を否定する根拠を証明する必要が出てきます。
しかし、Aさんがお金を受け取ったことを否定する以上、あなたは金銭交付の立証なくしては返金請求できません。借用書があれば、通常はお金を借りたことと返す時期が書かれているので、Aさんが返済済みを証明できない限り、返金の請求は認められます。
約定の返済日(定めがなければ貸付日)が何年も前だと、時効期間(昨年4月1日以前の貸金の場合は10年間、以降であれば5年間)が経過していれば時効になりますが、ここ3年ほどのことですからその心配はありません。