手間を掛けた料理にも「店と比べればまだまだ」
Aさんは自身が週3回仕事に出るようになったことで、その際の夫の昼食をどうするかも懸念材料の一つだった。働くことを決めてすぐ、夫から「在宅勤務中、俺の昼飯どうすんだよ」とクレームを受けていた。Aさんは、「夕飯のおかずを多めに作って翌日のお弁当を作るから」と説明するも却下された。
「『同じおかずを連続で食いたくない』と夫に言われました。以前、夕食と翌日の朝食でカレーを2日連続出した時もNGを受けていたので、やっぱり受け入れてくれませんでしたね……。ただ、最初こそ凹みましたが、私だってやっていられない。
今では『だったら食べなくていいです』と言い切っています。『そんなに嫌なら自分で作るか、勝手にコンビニで買ってくるとか、デリバリーを頼むとかしてほしい』とも言ったのですが、キッチンで何かするのは基本嫌なタイプだし、買ったものを家で食べるのも受け付けないみたいで。お坊ちゃん育ちなんですね。自立するいい機会です」
和食の定番「一汁三菜」の形式を好むという夫。Aさんが作るおかずなしの「一品料理」にも文句の矛先は向けられた。特にラーメンやチャーハン、焼きそば。夏場であれば、そうめんやそば、冷やし中華といったメニューは気に入らないそうだ。わがまま夫、ここに極まれり、といった印象だ。
「夫は一品料理を『手抜き』だと思っているんです。かといって、何時間も煮込んで手間をかけたビーフシチューをどーんと一品食卓に出した時も、『家庭料理にしてはうまい。でも、○○の店と比べればまだまだ』と“俺は本物を知っている”アピールをされて笑いました。ほんと面倒で、同じ食卓にいたくないので、最近は『仕事があるから』とわざと食事の時間をずらすようにしています。夫との闘いはしばらく続きそうです」
Aさんの夫は元々、「自分がお金を稼いでいるのだから、家事は妻の仕事」というステレオタイプな価値観を持っていたようだ。だが、状況が変わって妻も仕事をするようになったわけだから、本来ならAさんの家事の負担を軽減させる方法を考えるのが筋だろう。そこで家事を手伝うどころか、文句ばかり言い続ているわけだから、Aさんが「我慢の限界」だというのもうなずける話ではないだろうか。