2つ目は子供を持った後も働き続けたこと。出産後すぐに子供を連れてスタジオ入りしたアグネスの姿は賛否を呼び、社会的な大論争となった。
「私はそもそも、出産後も働くことが当たり前だと思っていたんです。あの頃の香港は貧しい家庭が多かったし、働き手も足りなかった。出産後もなりふり構わず、子供を職場に連れて行ってでも働いて稼ぐのが常識だったから、批判されるとは思わなかった。
いろいろ言われましたが、働きながら子育てしてよかった。子供たちは母親が働く姿を見て学ぶことが多かったと思うし、私も子供たちから力をもらって頑張ることができた。働きながら育て切ったことは、人生のなかでいちばんの支えになっています」
派手な服を気にせず買う
65才を過ぎたいま、心に決めているのは“着たい服を着る”ことだ。
「“年だからもう似合わないかも”と思って、勇気が出ない服ってありますよね。だけど考えてみたら、毎日年をとっていくから、いちばん似合う日は今日です(笑い)。そのことに気がついてからは、インターネットで好みの服を見つけたら、派手でも気にせずに買ってすぐに着るようにしています。
人生100年時代において65才は半分と少し過ぎたあたり。同年代の女性たちはみんな、仕事や育児、介護を頑張り、社会のルールを守って一生懸命生きてきた人たち。だからこれからは好きなことをした方がいい。“みんなで着れば怖くない”ですよ(笑い)」
【プロフィール】
アグネス・チャン/1955年香港生まれ。1972年に『ひなげしの花』で歌手デビュー。芸能活動と並行して上智大学国際学部、カナダのトロント大学を卒業。1994年には米スタンフォード大学から博士号を取得。現在は歌手、ユニセフ・アジア親善大使などを務める。
※女性セブン2021年8月12日号