違反があれば、市町村長が防音方法の改善や作業時間の変更を勧告し、従わないときはこれらを命令することができ、違反者は5万円以下の罰金で処罰されますが、「特定建設作業」を規制するだけです。前記の杭打機などの機械や重機を使った工事でなければ規制されません。
自治体によっては特定建設作業の幅を条例で広げているところもあるようですが、法律等や条例だけでは騒音問題の解決は難しいと思います。
しかし、建設工事の騒音が著しく、窓を閉めた室内で日常会話もできない状態が長期間継続したり、健康被害を生じるようになり、建設業者に訴えても容易に実施できる防音措置や作業方法の変更などの対策をとってくれない場合には、受忍限度を超えていると評価される可能性があります。
その場合は生活公害として、周囲の住民と一緒に役所の公害や環境担当の窓口で相談するのがよいと思います。
ただし、日中に安眠できないという程度にとどまれば、「建設工事は完成すれば終了するので、しばらくの間はがまんしてください」と言われるように思います。業者に慰謝料を請求するのは現実的ではないでしょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座、B型。
※女性セブン2021年8月12日号