コロナ感染対策の一環として、推奨されてきたテレワーク。だが、日本生産性本部が7月16日に発表した「第6回 働く人の意識調査」によると、テレワークを実践している人の中で、直近1週間における出勤日数が「0日」だった人(完全テレワーカー)の割合は11.6%と、過去6回の調査で最も低い数値を記録している。4月の調査と比較しても18.5%から約7ポイント減少。緊急事態宣言が発令される中、なぜ“テレワーク離れ”とも言うべき現象が起きているのか。テレワーカーたちの声から探った。
「テレワーク100%生活は最高でした。こんなに自由で効率的な働き方があるのかと感動して、ずっと続いてくれればいいと願っていましたが……今は月に数回、出社しています」
そう本音を明かすのは、メーカーで働く30代男性・Aさんだ。なぜ、出社せざるを得なくなったのだろうか。その原因は、職場の価値観にあった。
「私が勤務する会社は、以前から各人の意向に沿ってテレワークか出社を選択できました。ただ会社としてテレワークの推奨を徹底していたわけではなかったこともあり、出社する人が『偉い』というような風潮がまん延しているように思えます」(Aさん)
当初から、テレワークを選択していたAさん。次第に自分が「少数派」だという事実に気づいた。
「オンライン会議をすると、自分だけ家からの接続。出社していた同僚が教えてくれたのですが、上司が『家にいる奴は、本当に仕事をしているのか』『出社したほうが生産性が高いのに』などと愚痴っていたそうです。まるで自分がラクをしているかのように思われていたことは、ショックでした」(Aさん)
Aさんは、「今のご時世、テレワークをしているほうが、よほど社会貢献度が高いと思うんですけど……。デスクに向かっている姿を、目視で確認しないと『働いている』とみなさないような、古い頭の上司がまだまだいるんだなとガッカリしました」と明かす。