Mさんの在学時の卓越したマネージメント能力を見た顧問が、彼を“一本釣り”したのだ。一も二もなく飛び付いたMさん。かくして現在、母校の大学職員という安定した立場で、思う存分合唱部の運営に携わっているという。
「私はマネージャーがやる仕事をやっただけ。みんなが練習をしている時に、コンサートホールの手配をしたり、演奏旅行のプランを作って予算折衝したり、OBに頭を下げてお金をもらいに行ったりしていたので、『よく働きそうだな』と、思われたのでしょう」
そうMさんは謙遜するが、イヤなら辞めれば良い部活動で、縁の下のポジションをまっとうすることは簡単ではない。どこにでも、きちんと見てくれている人がいるということ。裏方に回らされたからといって、腐る必要はまったく無いのだ。