学生の本分は勉強だが、部活動もそれと同じくらい大切だと考える人は多い。教室よりもグラウンドや部室で多くのことを学んだ学生は少なくないはずだ。部活動は授業とは違い、好きなことを出来るのが最大の魅力だが、それを陰で支えるマネージャーの存在も大切だ。裏方仕事はあまりやりたくない、と思う人もいるかもしれないが、それをまっとうすることで、明るい未来が開けるケースもあるようだ。
Mさん(40代男性)は大学時代、男性合唱部のマネージャーだった。小さい頃から音楽が大好きで、楽器も堪能だったMさんは、大学入学と共に合唱部へ。しかし2年生の時、生来の人の良さからマネージャーを引き受けてしまう。
「当然、誰かがマネージャーをやらないといけないのですが、まぁ正直、歌が歌いたくて入部している人ばかりなので、誰も乗り気じゃない。同級生同士の話し合いで『やってくれないか?』と言われてしまい、とっさに断る理由が思い浮かばなかったので、引き受けてしまいました」(Mさん・以下同)
たかが部活とはいっても、Mさんの大学の合唱部は長い歴史があり、発表会の会場は1000人単位の客が入るコンサートホール。メディアが取材に来ることもあれば、慰問、チャリティなどで地方へ飛ぶこともある。それらの裏方仕事をやっている内に、本来の目的だった歌からはどんどん遠ざかることになったが、就職活動は超氷河期だったにも関わらず楽勝だったという。
「OBや企業などに、頻繁に寄付金を募りに行っていたので、就職活動ではまったく緊張しませんでした。各界の大物OBに会っていましたし、寄付金を頂いた時に『興味があったら、就職活動の時においで』などと言ってもらったこともあったので、気楽な気分で臨め、受けた会社からは幸運なことにすべて内定をもらいました」
母校の大学教授に呼ばれ職員として引き抜かれる
その中から金融機関を選んだMさんだったが、今は転職して、大学職員として母校で働いている。「給与も良く休みも多い“ホワイト企業”だと思います」と語る。しかもMさんは、自ら転職を望んだわけではなく、先方から誘われた形での転職だった。
「新卒で就職から数年後、後輩たちの練習を覗きに行くと、顧問を務めている先生から、『近々、ちょっと時間を取ってほしい』と言われました。文化部活動には学校から補助金が出ていて、顧問の先生は大学教授です。その顧問が、『職員の席を用意するから、ウチに来てくれ』というのです」