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予測しにくい「ゲリラ豪雨」のメカニズム 風が強くなったら要注意

突然の激しい雷雨に見舞われるケースも増えている(写真/2020年、時事通信フォト)

突然の激しい雷雨に見舞われるケースも増えている(写真/2020年、時事通信フォト)

 今年の夏も、全国各地で豪雨に見舞われている。そうした中で近年、夕方以降に突然発生することが多いとされる短時間の強い降水、通称「ゲリラ豪雨」が増えているが、その発生メカニズムはどうなっているのか。その予兆を見極める方法と合わせて、気象予報士の田家康さんが解説する。

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 近年、短時間の降水は着実に増えている。アメダスで観測された1時間当たり50mm以上の極端な大雨は、1980年前後では全国で200回程だったのに対し、この5年間は毎年320回以上と1.5倍以上に増加した。気象庁は1974年のアメダス設置以前の状況が不明なため判断を保留にしているが、ちょうど地球全体の平均気温が1980年代後半から急激に上昇しており、まさに地球温暖化と一致した増加に見える。

 特に8月中旬を中心に夏はゲリラ豪雨の発生件数が最も多く、急な激しい雨に注意すべき時期と言える。では、どのようなメカニズムで発生するのか。

 夏の強い日差しによって地表が暖められ、地表近くの大気の気温が上昇する。この時、上空に冷たい空気が流れて来ると、地表面の暖かい空気は上空の冷たい空気の上へと上昇することになる。気温が高く密度の小さい空気は、気温が低く密度が大きい空気よりも浮力があるからだ。暖められた地表付近の空気が大気中を上昇する時、そこに含まれる水蒸気は気圧が低くなり、凝結して水滴になる。これが雲となるのだが、上昇する空気が多いとそれだけ雲も発達し、大きな積乱雲になる。この積乱雲が雨を降らせ、雷をもたらす。

 上昇した空気中の水蒸気が水滴となってすぐに地表に降ってくるとは限らない。氷の粒として降ってくる途中で何度か上昇流によって吹き上げられ、粒が大きくなっていくことがある。こうした過程で雹(ひょう)が生まれ、7月11日午後には東京都心で1センチ以上の雹が降った。

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