「いじめに良し悪しなどありませんが、昔は学校が終わればいじめもお終いで、家という避難場所がありました。しかし今はいじめのツールがネットやSNSに変わっており、いじめられっ子は24時間いじめに晒されることになります。しかもネットやSNSなどのいじめを教師が把握するのはとても難しい。年輩の教師は『インターネットのことは分からない』と若手任せにしますし、こちらとしてもプライベートの時間に四六時中ネットを徘徊しているわけにもいきません。
我が校では教師と生徒がSNSで繋がることは原則禁止なので、直接被害を訴えてもらうか、問題があることを告発してもらうのが有効ですが、そうなると今度は“密告者探し”になってしまうので難しいですね」(Oさん)
インターネットが一般に普及するようになったのはここ20年ほどのこと。教師の中にはネットリテラシーがゼロに等しい人もおり、生まれた時からネットがある今の子供たちに対応するには限界があるとOさんはいう。
本当にいじめっ子の“凡ミス”だったのか?
そんなOさんだが、かつて担当クラスのいじめっ子がぴたりといじめを止めた事件があったそうだ。なぜいじめをやめたのに“事件”なのか? Oさんが振り返る。
「私のクラスにA君というヤンチャな子がいました。身体が大きく、運動神経も抜群で、周りの子をすべて子分のように扱い、自分の気に食わないことがあると教師にも歯向かってくるような子でした。
6年生が全員参加するサマーキャンプでのことです。最終日、忘れ物を1か所に集め、生徒に確認させていると、その中に白いブリーフがありました。ブリーフには『A』と書かれており、お漏らしをした跡があります。A君は“オレのじゃない!!”と強く否定しましたが、Aという名字はA君だけ。この一件以降、A君は卒業まですっかり大人しくなりました」(Oさん)