「なかなか寝付けない」「仕事が忙しくてまとまった睡眠時間が取れない」……。そんな人たちが重宝しているのが、いわゆる「睡眠用BGM」と呼ばれるコンテンツだ。鳥のさえずりや川のせせらぎなど、自然の音を収録したヒーリングミュージックのほか、リラックス状態で出る脳波の「α波」発生を促す効果が期待される音楽などが主流。YouTubeには「短い睡眠でも朝スッキリ!」「5分で寝落ち」「自律神経を整える音楽」といった謳い文句の動画が数多くアップされている。
それらの動画のなかには、途中で広告が流れないように設定された「広告なし」動画(収益なしの動画)も多く、ユーザーはスマートフォンのタイマーで「再生停止」を設定しておけば、動画を再生しながら眠りにつくことができる。
興味深いことに、こうした睡眠用BGMコンテンツのコメント欄に独特なコミュニティが形成されているという。会社員のAさん(30代女性)はこう話す。
「仕事のストレスでなかなか寝付けなくなったことがきっかけで、YouTubeの快眠動画を利用するようになりました。最初は『快眠 ミュージック』『ジブリ 音楽 オルゴール』などと適当に検索して音楽を流していただけなのですが、たまたまコメント欄をみたらビックリ。他の動画ではあまり見たことがない、お互いを励まし合うコミュニティが広がっていたのです」(Aさん)
コメント欄で「励まし合う」とはどういうことなのか? Aさんは続ける。
「YouTubeのコメント欄は、『グッド』がたくさんついたコメントから順番に表示させる【評価順】という機能があります。安眠コンテンツで評価が高いコメントは、〈受験生のみんな、頑張って志望校受かろうね!!〉〈無数のコメントのなかから、このコメントを見つけてくれてありがとう。あなたに幸せが訪れますように〉〈みんな、本当に仕事おつかれさま。泣きたくなる日もあるよね、ああしたも頑張ろうね〉といった、励まし合いのコメントがたくさん書き込まれていました」(前出Aさん)