9月中旬時点で、日本人の全人口の50%が、新型コロナウイルスのワクチン接種を完了している。65才以上の高齢者に限れば、約9割が2回目接種を終えたことになる。
「10月から11月の早い時期には、希望者全員のワクチン接種が完了する予定。それに向けて、緊急事態宣言地域であっても、『ワクチン接種の証明』や『検査の陰性証明』を活用し、制限を緩和していく。飲食、イベント、旅行などの社会経済活動の正常化の道筋をつけてまいります」
9月9日、菅義偉首相(72才)は記者会見でいつになく力強くそう語った。
振り返れば、今年に入ってから東京で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ていないのは、たったの21日間だけ。永久に続くかと思われたほどの暗く長い自粛生活のトンネルの先に、ようやく「普通の生活」という光が見え始めた。
ただ、10月になったらすべての人が自粛緩和を享受できるわけではない。条件は、菅首相が語った「ワクチンの接種証明」や「検査の陰性証明」であり、それらの証明をしかるべき方法で示す必要がある。
「ワクチンの接種証明とは、いわゆる『ワクチンパスポート』のこと。現在、各自治体において、海外に渡航するときに使えるワクチンパスポートが発行されていますが、それがより広い用途に使えるということでしょう。ワクチンを打たない人や打てない人は、検査で陰性を証明すれば、ワクチンパスポートと同じ効力を持ちます。ただ、PCR検査ならば72時間以内、簡易な抗原検査ならば24時間以内と有効期間が短い点や、検査のたびに数千円の費用がかかることで、使い勝手はよくないでしょう」(医療関係者)
ワクチン接種が完了した人と、そうでない人では、10月以降の生活に、大きな差が出てくるかもしれない。