「ルネが描いた『ルネガール』は、首も手足も異様に長くて瞳はキラキラ。これまで見たことのないデフォルメされた美少女でした。参考にしたのは、海外の『ヴォーグ』『セブンティーン』のモデルや、オードリー・ヘプバーンなどの人気女優たち。当時雑誌は高価でしたので、図書館に行ってはその姿を描き写したそうです」(所さん・以下同)
コケティッシュでおしゃれなルネガールは瞬く間に少女たちの心を捉えた。黒柳徹子(88才)も「ファッションのお手本だった」と語り、金子功(82才)や高田賢三さん(享年81)など、後にモード界を牽引する人々にも影響を与えている。
ルネの功績はまだある。
「一時期、学年誌の付録のほとんどはルネが手がけていました。『ルネ先生の付録付き』というだけで売り上げが倍増するほど、付録界のスターだったんです。当時は子供用のバッグなんてまだなかった時代。『じゃあ紙袋にイラストをつけて、バッグ代わりにしたら?』『かわいいレターセットがあったらうれしいよね?』などと、女の子が喜ぶものを次々と考え、形にしていきました」
その成功をもとに、1970年代初頭には動植物をキャラクターにしたシールや文具類を商品化。この時代が、「ファンシーグッズのはじまり」ともいわれている。
さらに、古い棚や机、籐の椅子を白いペンキで塗った「白い家具」を提案すると、家具メーカーがこぞって白い家具を発表したという逸話もある。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2021年9月30日・10月7日号