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時代や国境を超える内藤ルネ いまも若い世代に届く「カワイイ」を発信

いまも“カワイイ”と共感される内藤ルネの作品/『ジュニアそれいゆ』ひまわり社、第18号目次、1957年(C)R.S.H/RUNE

いまも“カワイイ”と共感される内藤ルネの作品/『ジュニアそれいゆ』ひまわり社、第18号目次、1957年(C)R.S.H/RUNE

 今、音楽のみならず、雑貨や人形、お皿などのデザインや娯楽の分野で、若者を中心に広がっている「昭和大ブーム」。昭和のレトロ感が“カワイイ”と人気を集めているが、その礎を築いたのが“カワイイの生みの親”であり、“ポップカルチャー”の先駆者として知られる内藤ルネだ。

 きゃりーぱみゅぱみゅ(28才)の美術デザインを手がけ、カワイイ文化の第一人者といわれるアーティストの増田セバスチャン(51才)もルネを敬愛する1人だが、なぜルネの“カワイイ”は年代を超えるのか。

 ルネと親交のあった精神科医の香山リカさんは、あるインタビューで「本来はか弱い生き物などを指した“可愛い”という言葉を、ルネさんは『あのお財布カワイイ!』と、モノに対しても使ったそうです。言葉では説明できない素敵なものは、すべて『カワイイ』。ルネさん独特の感覚ですよね」と述べている。

 ルネ作品の管理を行う「キャストネット」の所裕子さんが語る。

「ルネは、トマトの形ひとつにもカワイイを見出す人でした(笑い)。当時の“可愛い”は、幼稚や未熟なものに対するネガティブな意味合いをもっていましたが、ルネは『未熟だからこその魅力がある』と、可愛いことを肯定的に捉えていました」

 また、少女たちにルネが「ただの白い便せんだって、お花や模様を切り貼りするだけで素敵になりますよ」と提案したこともあるというが、さながらスマホを「デコる(飾る)」現代の女子にも共通する感性だ。

 ルネが亡くなる2年前の2005年、都内で回顧展が行われた。驚くことに、来館者は当時ファンだった女性より、10~20代の若者たちの方が圧倒的に多かったという。

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