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「産まなきゃよかった」…その言葉、親は忘れても言われた子供は忘れない

「『覚えていない』と言われたうえに、『恨みがましい』『育ててやったことに感謝がない』などと苦言を並べられ、さらには私の子供時代がいかにダメだったかなど、論点をそらしてきたので、もう諦めました(笑)。恨みとかじゃなくて、単純になぜそう言ったのかを聞いて、なんとか納得したかっただけなのに。子供は親に言われた言葉が納得できなくても、モヤモヤしたまま、大人になるまで引きずってしまうものですよね。今は子育てしながら、『あの時こんな言葉を言われたな』と思い返しながら、反面教師にしています」(Aさん)

弟を特別扱いする親から「産まなきゃよかった」

「弟だけ特別扱いした両親の言動はよく覚えています」と言うのは、看護師の30代女性・Bさんだ。両親と3つ年下の弟がいる4人家族の中で育った。Bさんは「弟は当時、割と勉強ができる子で、私は劣等生。よく『産まなきゃよかった。○○(弟)はいい子なのに』と言われ、正直、家での居心地は悪かったです」と振り返る。

 そんなBさんは、中学時代から「うちはお金ないから大学は行かせられない。就職してね」と両親に言われてきたそうだ。

「私には進路をどうするか、という選択肢はありませんでした。高校卒業後に2年ほど派遣社員として働いてから、貯めたお金で看護学校に進学しました。一方で、弟は2浪して大学に進学するという特別待遇。しかも、第1志望の理系の難関私大ならまだしも、偏差値の低めな大学で、さらには休学するという……。甘やかしすぎじゃないですか」(Bさん)

 念願の看護師の仕事に就いたBさん。実家を出て一人暮らしをするため、荷物を片づけている時、Bさんが自分の就職祝いで購入したブランドバッグを見た、母親から言われた言葉が忘れられない。

「『看護師じゃなくて怪しい仕事してるんじゃないの? 育て方間違ったわー。迷惑かけないでよね』と言われて、はらわたが煮えくり返る気持ちでした。無言で家を出ましたが、もう実家に帰ることはないと確信した瞬間でもありました」(Bさん)

 今も両親の弟への“寵愛”は続いているという。弟が結婚し実家を出ることになると、両親は『一緒にいたい』と言い寄り、貯めてきたお金を頭金にして、二世帯住宅を建てた。Bさんは「絶句しました。もう10年以上、親に会っていません。産まなきゃよかったと言うけど、こっちだってこの家に生まれたくはありませんでした」と呆れかえっている。

何かと「男らしさ」を求めてくる父親

 父親が抱く理想の男性像の押し付けに苦しめられた人もいる。IT企業で働く30代男性・Cさんだ。地方の工業高校卒の父親と都立の進学校卒の母親との間では、教育方針をめぐりケンカが絶えなかった。とりわけ父親は、Cさんに“男らしさ”を求め続けた。

「父は学生時代に野球に明け暮れた人で、体育会系気質。しかも『男らしさ』に厳しい人でした。『男なら泣くな』『男はそんなことで悩むな』は定番で、小さい頃は反論できず、自室でよく泣いていました。母に泣きつくと、父から『育て方を間違った』『お前、マザコンかよ』などと罵倒され、母からも距離を取らざるを得なかったこともありました」(Cさん)

 Cさん曰く、父親は仕事から家に帰ってくると、酒を飲みながらプロ野球の巨人戦のテレビ中継を観戦し、選手と監督に文句ばかり言っていた人だった。クイズ番組も好きで、ミスした芸能人を「そんなこともわからねーのかよ」とバカにしたり、不正解だったCさんの回答を「ほら、俺の言ったとおりだろ」などと小バカにすることもあったそうだ。

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