経済が正常化しても格差は解消されず
コロナ発生以降、政府や自治体は雇用調整助成金や休業補償など、多額の予算を投じて経済活動を支えようとした。
しかし現実には多くの企業がコロナ倒産に追い込まれた。帝国データバンクの調べによると、コロナ関連の倒産件数は2063件(9月21日時点)。業種別でみると、最も多いのは飲食店(350件)で、建設・工事事業(212件)、ホテル・旅館(109件)などが続く。帝国データバンク情報部情報取材課の佐古真昼氏が指摘する。
「昨年11月に発生した第3波と年末年始の需要消失、年明けの緊急事態宣言とその再発出や延長が企業の業績を直撃して、今年3月以降の倒産が急増しました。今年3月以降の倒産は、全体の倒産のおよそ半数を占めています。国などの資金繰りの支援策はありましたが、抜本的な改善には繋がらず、ただただ延命治療をしただけと考えられます」
テレビでは連日、緊急事態宣言下での行動制限や医療逼迫ばかりが報道されたが、その陰でコロナ経済による犠牲は広がっていた。コロナ倒産した企業を取材したジャーナリストが語る。
「多くの企業で、目の前の資金繰りに追われる経営者の大変な姿を目の当たりにしました。コロナ禍で資金繰りが急激に逼迫して倒産した年商数億円規模の銀座に本社を置く会社の社長は『コロナさえなければこんなことにならなかった』と洩らしていました。倒産直後には、気が動転して車で事故を起こしてしまったそうです」
前出の佐古氏が語る。
「今後、コロナ融資の返済が始まる企業が増加するなか、メドが立たず士気も低下して事業継続をあきらめるパターンなど、コロナの影響を受けた企業の倒産は増加していくとみています。さらに経済が正常化しても、業界によって格差が出てしまい、倒産に繋がるという見方もしています。
2022年2月までの倒産件数は最大で月間900件ほどに達すると予測しています。最も倒産が増えるのは11月あたりと予想しています」
※週刊ポスト2021年10月8日号