外では社交的で感じがいいのに、家ではいつも不機嫌。イライラをわかりやすく家族にぶつける“不機嫌ハラスメント”攻撃が得意で、口癖は「チッ」(舌打ち)──。同じ空間にいるだけでもストレスが溜まって仕方ないが、今、こんな厄介な“モンスター夫”が増えているという。夫がモンスター化する理由とともに、その対処法を紹介する。
おれさまが不機嫌なんだからなぐさめろ
外にいるときとは態度が違い、家では理由もなく不機嫌で、自分がイライラしていることをあからさまにアピールして、周りに恐怖や不快感を与えることを「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」という。
「うちの夫は、典型的なフキハラ・モンスターです。たとえば、車に乗っていて渋滞にハマると“あ~あ、誰のせいでこんな嫌な思いをしているんだろう”と聞こえよがしに言ったり、家でも誰が何をしたわけでもなく、常にイライラしていて、トイレの扉をわざと大きな音で閉めたり、“廊下の電気つけっぱなしにしたの、誰だよ!”と大声で怒鳴ったり……。
突然不機嫌のスイッチが入るので、触らぬ神に祟りなし状態で放っておいていますが、触らなくても勝手に不機嫌になるので、本当に困っています。5才と7才の息子たちは夫を怖がって近寄りません。夫が家にいるだけで、緊張感が走ります。でも外に出るとにこやかに隣人にあいさつしたりして……。ご近所さんから“素敵なパパね”なんて言われると複雑な気持ちになります」(38才・パート)
はたからは理由のないように見える不機嫌さだったり、本人にも理由がわからないイライラの背景には、漠然とした不安があると、心理カウンセラーの山脇由貴子さんは言う。
「社会全体が鬱屈とした雰囲気に包まれているいま、こういう“フキハラ夫”は増えています。不安のはけ口を、自分より弱い相手や甘えられる相手にぶつけているのでしょう。こういうタイプは幼い頃、親にかまってほしくて不機嫌になっていた原体験があるケースが多いんです。不機嫌になると母親などから“大丈夫?”などとかまってもらえたのでしょう」