コロナ禍で在宅時間が長くなる中、ゲームに夢中になる人も少なくないだろう。今や据え置き型ゲーム機だけでなく、携帯ゲーム機、スマホ、PCで、アクションやRPG、スポーツなど様々なジャンルのゲームを楽しめるようになった。そうしたプレイヤーは若者が中心だと思われがちだが、中にはこれまで縁がなかったような「高齢プレイヤー」も参戦しているようだ。どのようなきっかけで、ゲームをプレイし始めたのだろうか。
外に出るのが怖くて運動不足になり…
「息子からゲーム機本体とフィットネスゲームをプレゼントしてもらったことがきっかけでした。今では生活の一部になってますね」
そうゲームデビューを明かすのは、都内在住の70代女性・Aさんだ。3年前に夫に先立たれ、今は一人暮らし。新型コロナウイルスが感染拡大する前には、商業施設の清掃パートをしたり、自転車に乗って5~10キロ先まで出かけるなどアクティブな暮らしぶりだったそうだ。だが、ゲームによってその生活は一変した。
「新型コロナの影響でパートの仕事も減り、外出も近所のスーパーとコンビニだけと、最低限の生活になりました。一日中家でテレビやYouTubeを見て過ごしていたら、腰痛やひざの関節の痛みが悪化してきて、ますます外出が億劫になっていました」(Aさん)
そんなAさんを心配した30代の息子が、ある日「あの女優がCMに出てるゲームしてみない?」と提案してきたそうだ。Aさんが当時を振り返る。
「エアロバイクやダンベルを購入して運動しようかと思ったこともありますが、つまらなくて続かなさそうだと息子に話したことがありました。だから、『楽しみながら運動できる』ためのフィットネスゲームだったのでしょう。敵を倒すことに苦労することもありましたが、何よりも足踏みしながらゲーム内で描かれた自然を散策していくことが楽しい。とはいえ腰とひざには不安が残るので、病院にも通い始めました。ゲームを通して生きる活力を取り戻せた気がします」(Aさん)
Aさんは最近、同じゲーム機でできるスローライフ系のゲームに興味津々で、購入するつもりだという。息子家族はもちろん、かつてのパート仲間にも声をかけてみようと考えている。