岸田文雄政権が誕生して以降、日経平均は落ち着きのない展開が続くものの、ドル円は円安ドル高の強いトレンドで推移している。10月末の衆議院総選挙を終えてから年末に向け、株や為替相場はどのように動くのだろうか。FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが今後の相場見通しを解説する。
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10月下旬から年末にかけての相場展望を解説します。10月上旬は岸田首相の発言やアメリカの雇用統計等の結果を受け、為替や株式市場は大きく変動しました。日経平均は一時27000円を割れそうな勢いで下落しましたが、「金融所得課税の見直し」が当面見送りになったことで反発。目先、日経平均の大幅な下落は考えづらい状況になったのではないでしょうか。例年10月から11月にかけては株高で推移しやすい傾向もあります。
過去の衆議院総選挙を振り返ると、選挙前30日から株価は上昇方向で推移するケースが散見され、選挙後も上昇が続くケースが比較的多かったので、株価が下押したタイミングで買いポジションを保有する動きも出てくるのではないでしょうか。
勢いよく上昇するドル円については、2018年の高値である1ドル=114.565円近辺がポイントとなるでしょう。過去の高値は上値抵抗線として投資家から意識されやすいため、そこが直近のターゲットと考えています。ここを上抜けると、次はトランプ大統領の就任後につけた高値1ドル=118円台が見えてきます。その先には1ドル=125円というターゲットも控えていますが、これは来年以降の話となるでしょう。
FXのトレードをするうえで注意したいのは、トレンドが完全に上昇方向で推移している中、ショートポジションを持つことです。ドル円を買いたいのに買えないという方は、無理にショートで利益を狙おうとせず、押し目をしっかり待つ方がいいでしょう。投資の基本はリスクコントロールで、焦ってエントリーする必要はなく、サインが出たらトレードを開始するスタンスでいいと思います。
今回の衆議院総選挙で自民党が負けることを現時点であまり想定していませんが、もしも自民党が惨敗するような場合、見通しは変えないといけないでしょう。しかし自民党が勝利する限りは、1ドル=100円割れするような円高は想像しにくいです。
米国株に関しては、今年はバイデン大統領が就任した年で、大統領選挙後から翌年にかけては「ご祝儀相場」となりやすいため、見通しは上目線です。米長期金利の上昇から株価の下落を懸念する市場参加者もいますが、短期的に下落する不安はあるものの、長期的には米国株市場の力強さは変わらないでしょう。
私は様々な相場のチャートを分析してトレードしており、最終的な投資判断はテクニカル分析で行います。経済指標やニュースなどから好材料が発表されたとしても、チャートが反応しなければ、トレードはしません。このように自分が信じられるトレード方法・スタイルを身に着けられれば、収益向上に繋がると思うので、ぜひ習得に取り組んでみてください。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)