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温暖化対策の「二酸化炭素回収マシン」を発明した東大生が描く未来図

スーツケース型の装置内部にセットする「CO2回収カートリッジ」にはアルカリ性の液体を含むフィルターが備えられ、そこを空気が通り抜ける際に二酸化炭素が吸着する仕組み。二酸化炭素回収量などの情報は上部モニタで把握(C)CRRA

スーツケース型の装置内部にセットする「CO2回収カートリッジ」にはアルカリ性の液体を含むフィルターが備えられ、そこを空気が通り抜ける際に二酸化炭素が吸着する仕組み。二酸化炭素回収量などの情報は上部モニタで把握(C)CRRA

回収した二酸化炭素は環境にやさしい燃料へ

 以降、「ひやっしー」はバージョンアップごとに能力を高め、2022年初頭に発表予定の「ひやっしー4(仮称)」では年間100kgの二酸化炭素回収を目指している。さらに今後は車載用、工場の煙突設置用を用意しつつ、全国のコンビニや学校への設置で意識改革も狙うという。

 同時に、「ひやっしー」で回収した二酸化炭素を燃料に転用する「そらりん計画」も着々と進む。特定の藻に二酸化炭素を食べさせると、光合成で糖が生まれる。それを酵母で発酵させエタノールとし、オイルをブレンドすれば軽油代替燃料「そらりん」のできあがり。今秋から冬にかけての完成を見込み、数年後には「そらりんスタンド」を全都道府県に設置予定だ。

 発明から商品化に至る期間がどれもとてつもなく早いのは、今すぐ温暖化を解決したいとの願いもあるが、「論文発表より先にモノを創ってしまう、発明重視の化学者だから」と村木氏は自己分析する。

 10月には、アメリカ在住の眞鍋淑郎氏が地球温暖化研究の業績でノーベル物理学賞を受賞。村木氏もノーベル賞を目指している?

「ノーベル化学賞と平和賞のダブル受賞なんていいなと思うけど、名前が『ひやっしー』『そらりん』ですからね。ノーベル賞のパロディ版、イグノーベル賞をいただけたらうれしいです」(村木氏)

※週刊ポスト2021年11月12日号

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