11月に入ってめっきりと気温が下がり、晩夏からいきなり晩秋になったような感がある今日この頃。新型コロナウイルスの感染拡大も落ち着き、秋のもみじ狩りを計画している人も多いだろう。では、地域によって異なる紅葉の見頃をどうやって見極めればよいのか。気象予報士の田家康さんが解説する。
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気象に関するこの季節の話題と言えば、やはり紅葉が頭に浮かぶだろう。民間気象情報会社の「紅葉見頃情報」を見ると、これから全国で本格的な見頃を迎えるというところ。ただ、近年は地球温暖化の影響で予報通りに行かない可能性も指摘されている。ここでは、紅葉のタイミングをどう見極めれば良いかについて考えたい。
気象庁では長年、動物や植物の様子を観測する「生物季節観測」を発表しており、その中には「サクラの開花日」などとともに「カエデの紅葉日」「カエデの落葉日」も含まれている。原則として各気象台の構内にある標本木が観測され、紅葉日は「目視によって、対象とする植物を全体として眺めたときに、その葉の色の大部分が紅(黄)色系統の色に変り、緑色系統の色がほとんど認められなくなった最初の日を、その植物の紅(黄)葉日」と定めている。
例年、気象庁発表の紅葉日以降が見頃となる傾向にあるが、紅葉の見頃時期を予想するうえで悩ましいのは、地球温暖化によってその時期が遅くなっているとは一概に言えないことだ。確かに、1980年代から1990年代にかけては、紅葉の時期は後ろにずれこんだ。箱館では3週間以上、京都や舞鶴では12日から15日、松江では2週間近く遅くなった。ところが、これらの地域は21世紀に入ってからは紅葉日に大きな変化は見られない。2010年代以降、地球温暖化が進展しているものの、紅葉日に何らかの特徴的な傾向は現れていないのだ。