日本人の死因第1位であるがん。もし、がんに罹患した場合に直面するのは、病気や治療による身体的な負担ばかりではない。治療費の問題も重くのしかかる。
そもそもがんの治療にはいくらかかるのか。自身も乳がんを患った経験をもつファイナンシャルプランナー(FP)の黒田尚子氏が語る。
「がんでかかる治療費の目安は年間100万円くらいとお伝えしています。私ががんになってから12年間でかかった治療関連のお金は、医療費や乳房再建費用、交通費や日用品の購入などを合わせて約365万円でした」
特にコロナによる受診控えでがん検診を受ける人が減っており、今後は早期発見が叶わず、がんが進行した状態で発見される人が増加すると懸念されている。
進行がんは早期発見に比べて長い入院期間や高額な治療が必要になることがあり、トータルの治療費は大きな差が生じる。別掲の図は3大がん(胃がん、肺がん、大腸がん)のステージ1とステージ4にかかる平均的な治療費(1年目)の比較だ。
これを見ると、例えば胃がんのステージ1なら内視鏡治療か手術で約40万~130万円がかかるところ、ステージ4の抗がん剤治療では約260万円と、倍以上の金額がかかることがわかる。
治療費を算出した「がん治療費.com」を運営するエース・フォースの担当者が解説する。
「治療ガイドラインをもとにステージごとの代表的な治療法を選び、厚生労働省が定める診療報酬から算出しました。治療に際しての検査費用などは含みますが、副作用対策のための薬剤費などは含まれていません」
ここで算出された治療費はあくまでも「総額」だ。実際の自己負担額は患者が加入する公的保険によって異なり、年齢と所得で1~3割負担となる。