就職活動では志望企業に自分の長所を全力でアピールしたいところだが、極度の緊張や不慣れさから、面接の場で思わぬ受け答えをしてしまった経験のある人もいるのではないだろうか。当事者からしてみれば、「あぁ、失敗してしまった……」と不採用を確信する場面だが、ところがどっこい、予想に反して見事採用となるケースもあるようだ。実際にそんな経験した人たちに、エピソードを聞いた。
面接で熱いポケモントークが止まらなかった
「緊張のあまり、事前に用意していた回答が飛んでしまったり、何を言っているのかわからなくなることもありましたが、それがプラスに働いたことがありました」
そう明かすのはIT企業に勤める30代男性・Aさんだ。もともと人前で話すことが得意ではなかったため、就職活動に苦戦していたという。そんなAさんが、面接で「動物やモノに例えて自己PRしてください」という問いに、『ポケモン』で回答してしまったそうだ。
「突然の問いに、頭が真っ白に……。焦った時にポケモンがふと浮かび、『コイキングもしくはイーブイです』と答えてしまいました。どちらも進化で大化けし、伸びしろがあるポケモンなので、将来性をアピール。特にコイキングは、初期は『はねる』しかワザを覚えていませんが、『ギャラドス』に進化して最強クラスのワザ『はかいこうせん』を覚えることから、将来的には御社に多大な貢献ができると、しどろもどろになりながらも熱弁したことを覚えています(笑)」(Aさん)
幸いなことに、若い男性の面接官だったため『ポケモン』によるたとえは通じたが、『言いたいことはわかるけど、即戦力であることも重要だと思うよ? それにAさんは本当にギャラドスになれるの?』と笑われてしまったそうだ。
「面接の最中に『あぁ、失敗した……』と泣きそうになりましたが、将来性アピールを裏付けるために、粘り強く努力できるからこそ、大きな結果を出せたという学生時代のエピソードを語りました。ただ、そうした原点は、『ポケモンのプレイ』にあると、またポケモントークを続けてしまったんです……。『初代ポケモンで最初に、ほのおタイプのヒトカゲを選び、相性が悪い最初と2番目のジムで苦戦しましたが、粘り強くプレイし続けたことが原点で、不利な状況が続いても、あきらめず努力を怠らず好機を待てば、結果を出せることを学びました』みたいなことを言ったと思います。今考えると、なぜそんな話をしたのか意味不明です」(Aさん)
面接官からは「わかりました。ポケモンが本当に好きだね(笑)」と流されてしまったそうだ。『落ちた』と確信したAさんだったが、待ち受けていたのは意外な結果だった。
「その面接を通過して、最終面接では社長が登場したのですが、『あ、ポケモンの子ね』と僕のことを事前に頭に入れてくれていたようで、なごやかに面接は進み、内定をもらうことができました。なんだかんだ、新卒で入ったこの会社にずっと勤めています。拾ってもらったという気持ちも強いですが、ありのままの自分を受け入れてくれた会社なので居心地も良いからでしょうか。ポケモンの話がなかったら、ここで働いていなかったかもしれないと思うと、何が功を奏するかわかりませんね」(Aさん)