薬を減らせない医師の罪深さ
みつばち大阪クリニック院長の橋本惠さんは、処方薬の扱い方にも医師の力量が表れると指摘する。
「多くの薬を服用していると、のみ合わせで思いもよらない副作用が起きることがある。しかし高血圧やパーキンソン病、脳梗塞、糖尿病など、いくつもの既往歴があり、長く通院している人は多数の薬が処方される。医師が変わっても、そのまま引き継いで処方を続けるのが普通です。なぜなら、減らすと弊害が出る可能性やクレームになる場合もあり、医師にとっては勇気がいる決断になるからです。
とはいえ、無駄な薬はお金もかかるし、薬ののみすぎは副作用につながります。減薬に取り組んでくれる医師は良心的である可能性が高い」(橋本さん)
現状維持ならまだしも、さらに高額な治療へ誘導しようとする医師すらいる。
「最近、膝関節の痛みを専門に治療するクリニックの中で『ウチは保険適用内かつ非常に新しい斬新な治療法で成果を上げています』と喧伝するところをよく目にします。ところが、実際に患者が足を運ぶと『検査した結果、あなたにこの方法は合わないことがわかりました。自由診療に切り替えます』などと言い、きちんと説明しないままに非常に高い費用を請求された人がいました。いい医師であれば、保険診療の中でできる治療を探してすすめるのが原則です」(橋本さん)
患者自身が理解したうえで自由治療を選択するのであればいいが、このような患者の情報不足を狙った“悪徳商法”は言語道断だろう。
※女性セブン2021年12月9日号