検診の精度そのものに加え、患者と向き合う医師の力量もまた早期発見と見落としの分かれ目に影響する。前出・小林さんが説明する。
「20代の女性が全身倦怠感と関節痛、生理不順に悩んで来院したことがありました。婦人科や内科で診察や検査を受け、半年通いましたが一向によくならない。不安を抱えながらうちの病院に来たため、『もしかしたらまったく別の病気かもしれない』と思い立ち血液検査を受けてもらったところ、難病指定されている自己免疫疾患だった。また、リモート診療において気分が落ち込み『コロナうつだと思う』と訴えた高齢女性を、おかしいと思って調べてみたら甲状腺機能が低下していたケースもありました。やはり医師は経験が重要、という部分は多分にあると思います」(小林さん)
実際に医師による「見落とし」の例は少なくなく、2018年には東京都杉並区で3度にわたり肺がん検診を受診した40代の女性が見落とされ、命を落としている。
歯科治療は安すぎるセラミックに要注意
“医師の腕”によって左右されるのは、歯科治療においても同様だ。2020年に厚生労働省が発表した統計によれば、現在日本における歯科医院の数は約6万8000施設。コンビニよりも1万施設も多い計算になる。選択肢が多いだけにその技術や質には大きな差があり、選び方を間違えれば体にも財布にも大きな負担が生じる。