50才のときに貯金ゼロ状態を経験した女性セブンの名物記者「オバ記者」こと野原広子さん。「松・竹・梅」の選択肢があると、つい見栄を張ってしまい「梅」は選べないと語るが、はたしてどんな選択がお得なのか。野原さんの体験談とともに、専門家がその心理を解説する。
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「松・竹・梅」なら竹、「特上・上・並」なら上。「3つのうち、どれにする?」と言われると、私は真ん中を選びたくなる。つい先日も、友達のYちゃんとそこそこ高級な中華料理店でのランチの約束をして、「竹にしようよ」と提案したばかりだ。
すると、堅実なYちゃんは「期間限定コースの松・竹・梅かぁ(それぞれ7000・5000・3000円ナリ)……う~ん、梅でよくない? そんなに食べられないでしょ」と返してきたから、私は激しく却下した。
「いやいや、絶対に竹だよ。もしお隣のテーブルに松を注文されてごらん。大えびが運ばれてきたのを横目で見ながら、下を向いて小えびのチリソースを食べるわけ?」と。
ランクが1つ違いならいいけど、2つ違った場合の落差の激しさを想像すると、梅を選ぶなんてありえないわけ。てか、チラリとも浮かばない。で、あの日の中華コースは、フカヒレ入りのスープにあわびの炒め物などなど、竹コースで大成功だったけれど、過不足で言えば「過」なのよね。Yちゃんの言う「梅」でもよかったかなと、本人には絶対に言わないけれどそう思っている。
ちなみにYちゃんは外資系企業の経理をしている才女で、「貯金がないなんて信じられない! 働いて20年たった独身女は、千万円単位の貯金を持っているのが普通だから」と言うの。驚いたことにその店のカウンターの中にいた、地味めの30代後半の女性も「そうですよね」だって。
あぁ、もし私が静かに「梅」を選べる女だったら、私だっていま頃……。