ビジネス

誰が「東芝」を殺したのか 「日の丸家電」終焉の裏側【後編】

「会社分割こそが最善の道」だと強調した綱川社長(2021年11月撮影/時事通信フォト)

「会社分割こそが最善の道」だと強調した綱川社長(2021年11月撮影/時事通信フォト)

 東芝の3分割案について綱川智・社長CEOは、「総合電機メーカーではなくなる」と記者会見で認めた。なぜ“日の丸家電”の象徴は解体に追い込まれようとしているのか……『テヘランからきた男 西田厚聰と東芝壊滅』の著者であるノンフィクション作家の児玉博氏が、その岐路に立ち返った。【前後編の後編。前編を読む

 * * *

“メザシの土光”の戒め

 西田(厚聰)の夢もあっけなく終わる。自らを社長の座に座らせてくれた“粉飾”が発覚し、その責任を佐々木(則夫)らとともに取り、退任したからだ。

 かつて東芝の社長であるばかりか、経団連会長、そして臨調会長を務め、“メザシの土光”として広く知られ、また絶大な国民の支持を得ていた土光敏夫。

 東芝の経営危機に際して社長としてやってきた土光は、社長室に専用バスルームがあるのに驚き、即刻撤去を命じた。

 土光は全社員に勤勉に働くことを説き、無駄遣いを戒めた。その上で失敗しても再度挑むことの重要性を説き、社内に「チャレンジ」という言葉を敷衍させた。後にこの「チャレンジ」という言葉は、目標達成できなかった場合に“粉飾”を助長する言葉に変容してしまう。

 土光の戒めはもう1つあった。

「東芝で財界活動をするのは俺が最後だ。これ以後、財界活動は相成らん」

 そして土光は、東芝は財界活動できるような会社ではない、心得違いをするなと幹部らを睨みつけた。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。