徳島県警を退職後は犯罪コメンテーターとして活躍する「リーゼント刑事」こと秋山博康氏の連載「刑事バカ一代」。秋山氏が一日署長を務めた際に若手警官へ伝えた言葉について綴る。
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おはようさん、リーゼント刑事こと秋山博康です。
11月8日、ワシは兵庫県警洲本警察署(淡路島)の「一日署長」を委嘱された。タレントさんやスポーツ選手が一日署長を務めることはあるが、警察OBに声がかかるのは異例。今回、大任を引き受けたのは、洲本署の藤田恒署長との縁があったからや。
彼とは、15年ほど前に東京の警察大学校「捜査指揮官専科」で知り合った。全国の事件現場でトップを張る猛者が集う中、ワシの部屋を訪れ「今日から兄貴と呼ばせてもらいます」と初対面で言い放ったのが藤田署長やった。その後、共に刑事として切磋琢磨した彼から、「署員に“刑事魂”を注入してくれ」と大役を依頼されたんや。
当日は儀礼服に袖を通し、通常点検(署員の装備点検)を行なって洲本署員に講演した。集まった報道陣から藤田署長に、「秋山さんの影響で、若手がみんなリーゼントにしたらどないします?」との質問も出たそうや(笑)。
今回、一日署長となったワシが若い警察官に伝えたかったのは、「能力には個人差があるが、やる気に順番はつかない」ということ。
警察学校時代のワシの成績は下から数えたほうが早かった。武道や体錬が大好きで、自分を鍛えるため手足に重りをつけてグラウンドを走り回る一方、座学は苦手で朝から晩まで教官に怒鳴られた。