既にバーチャル会議室や音楽イベントも
具体的にはどんな世界が待っているのか。
「既にメタが行なっているVR技術を活用したバーチャル会議室『ホライズンワークルーム』では、CGで作られたアバターを通して、ユーザーは実際に人と対面しているように会議に参加できます。VRヘッドセットを付けているので、右隣に座っている人の声は右から聞こえ、遠くにいる人の声は遠くから聞こえる。複数の画面を空間上に出せるので、グラフや映像を見せながらコミュニケーションを取ることも可能です。もちろん、アバター同士は対面しているのと変わらない感覚で話すことも出来ます。
そのほか、米VRチャットのサービス『VRチャット』は、仮想空間で音楽イベントも行いました。アバターとなって参加したユーザーは、飛んだり跳ねたり、同じ空間内にいるユーザーと思い思いにパフォーマンスを楽しみ、一体感を味わうことが出来ます。2Dではありますが、米エピック・ゲームズの人気ゲーム『フォートナイト』も、アバターを通してバーチャルな世界を体感できる音楽ライブを開催しています」
今年8月にフォートナイトが開催した音楽イベントには歌手の米津玄師やアリアナ・グランデが登場し、コロナ禍における新たなライブ体験として大きな注目を集めた。既にいくつかの前例もあり、メタバースが普及する土壌は整いつつあるように思えるが、簡単ではない現状もあるようだ。
「今後、メタバースという新しい世界にどれだけの人を集められるかが本格的な普及のカギとなるでしょう。いくら入手しやすい価格になったとはいえ、現時点ではVRゴーグルを装着しないと仮想空間に入れず、重くてゴツっとしたゴーグルは、付け慣れていない人にとっては違和感もあります。これが眼鏡をかけるくらいの手軽さになれば、かなり普及するのではないでしょうか。そのためには、もう1、2段階の技術革新が必要です。
また、全世界の人々が仮想空間で交流できるということはそれだけトラブルも生まれやすく、安心して利用するためには国を跨いだルール作りをどうしていくかという問題も考えられます」
市場の期待通りメタバースが普及していくのか。ブームで終わらせないためには、その火を絶やさずイノベーションを生み続けられるかにかかっているようだ。