アメリカのバイデン大統領は富裕層向けの課税法案の成立を模索しているが、法案が可決された場合、相場にどのような影響を与えるのだろうか。株やFX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが、増税内容と相場への影響について解説する。
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アメリカのバイデン大統領は、富裕層への課税強化を目指しています。この方針が盛り込まれた法案の行方に、アメリカの富裕層は戦々恐々としているようです。中間層にはそこまで影響は出ないでしょうから、税金を取れるところから取りつつ、人気に陰りが出ないよう政策を進めようという意思が感じられます。
バイデン政権は今年3月にコロナ対策で1.9兆ドル(約200兆円)の財政出動を決めており、その後もインフラ投資や子育て支援など、様々な分野での経済対策を打ち出しています。その財源のひとつとして、富裕層への課税強化を目論んでいて、増税案を摸索しているようです。
アメリカでは、上位1%の国民が持つ資産は、下位の99%が持つ全資産より多いという試算も出ており、それだけ聞くと「その格差は無くしたほうがいい」という考えも理解できます。もちろん富裕層からは「頑張って稼いだお金を、なぜそんなに渡さないといけないんだ」という不満も聞こえてきそうです。
増税はマーケットを短期的に下落させる可能性がありますが、過去の相場を振り返るとその後、持ち直すケースも散見されたので、過剰に心配する必要はないかもしれません。
日本でも岸田政権が、選挙時には後回しにすると話していた「金融所得課税」が再度議論の俎上に載る可能性もあり、そうしたこともあって日経平均の上値が重くなっている印象です。これまで政府は「貯蓄から投資へ」という流れを推進してきました。コロナショック後には証券会社の口座開設数も伸び、これから日本でも投資人口が増加しそうな雰囲気だっただけに、そこに水を差された格好です。
こうした政策の影響で相場が急落しても、投資家の立場では、それをチャンスに変えることもできます。相場は上昇している方が儲かる人も多いですが、相場は下落するスピードの方が速いため、機関投資家の中には下落時を狙って大きな利益を出す人も少なくありません。株の信用取引に限らず、FXやくりっく株365では、売りからでもエントリーできるため、下落相場でも利益を狙うことが可能です。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)