家計

専門家が教える「住宅の買い時」 住宅ローン減税縮小をどう考えるか

首都圏の不動産価格はバブル期越えの高値が続いている

首都圏の不動産価格はバブル期越えの高値が続いている

不動産価格の高騰は遅れてやって来る

 日本銀行が11月11日に発表した10月の企業物価指数(企業同士が売買する物価の動向)は、前年同月比で8.0%も上昇。これは、第2次オイルショックの影響が残る1981年1月以来、40年9か月ぶりの伸び率だ。

「ガソリンや食品の一部で値上がりが目立つとはいえ、10月の消費者物価指数は前年同月比0.1%増とほぼ横ばいで、企業物価が上昇しても、それを小売価格に転嫁できていない状況が見て取れます。ただ、この状況がいつまでも続くわけではなく、どこかで転嫁できなければ企業がもたない。本格的に消費者が物価高騰を実感するのはこれからという状況です。特に、不動産は価格に跳ね返ってくるのが遅い傾向があるので、物件価格はまだまだ高くなる余地があると考えることもできます」

 住宅ローン減税の改正が目前に迫り、買い時かどうかの見極めも難しい状況の今、何を一番に優先して考えるべきなのか。

「最も重要なのは、住宅ローン減税の動向に左右されるのではなく、ローンを組んで家を買っても家計が圧迫されない状況になっているかどうか。貯蓄がほとんどないのに、無計画に家を買おうとすれば、住宅ローン減税で損か得かという話以前に、家計がクラッシュする恐れもあります。

 だから私は、家計がギリギリなのに背伸びして買おうとしている人には、『いまは物件価格が高いので見送ったほうが良い』と話し、一方で家計に余裕がある人には『これからしばらくは物件価格の高止まりも考えられるので、買えるなら買ってもいい』とアドバイスしています。要は、“家計の状況から買える時が買い時”なのであって、誰にでも当てはまる買い時は無いのです」

 多くの人にとって、家は人生で一番高い買い物。後になって後悔しないためにも、家計の状況と照らし合わせて冷静に判断すべきだろう。

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