IT機器が苦手な人も少なくないであろうシニア世代だが、そろそろガラケーも使いにくくなり、スマートフォンデビューをする人も増えているのではないだろうか。子供世代との連絡にLINEを使ったり、QRコード決済を利用したりと、スマホに替えることでできることは一気に増えるだろう。とはいえ、そこでまず突き当たるのが「使い方がわからない」という問題。親のスマホデビュー騒動に巻き込まれた子供世代に、話を聞いた。
メーカーに勤務する40代男性・Aさんは、数年前、ガラケーからスマホに買い替えることを決意した70代の母親のために、購入資金として6万円を援助した。そして母親が購入してきた機種は「高齢者向けのAndroidスマホ」だった。
「私が口を酸っぱくして『iPhoneにしろ』と言っていたのに、買ってきたのは、いわゆるシニア向けの操作が“らく”だとされるスマホ。母親曰く『0円に近い価格で買えた』『ショップの人にも勧められた』とのことで、私も最初は操作が簡単にできるように設計されているだろうと思い、放置していたんです」(Aさん)
現在はiPhoneユーザーだが、過去にAndroidの使用経験もあるAさん。どんなスマホでも、操作について質問された時にはどうにか答えられるだろうと高を括っていたが、実際に端末を触ってみると、その「わからなさ」に驚愕した。
「電話で質問されても、どうも私の知っているAndroidの操作感ではなく、話が全くかみ合いませんでした。ある時、電話もネットもできなくなった、と実家の電話から私に連絡が入り、仕方なく実家に帰った時に端末を触ってみたのですが、正直、全然使い方の想像がつかないんです。
大体の機種は、『このあたりにこういう機能があるだろう』という感じでなんとかなってきたのですが、このスマホはどちらでもない感じ。操作が独特で、結局私のスマホで使い方を調べながら教えることになりました。原因は機内モードになってしまったせいだったのですが、その機内モードをどこから解除すればよいのかわかるまで、かなり時間がかかりました」(Aさん)
Aさんの苦戦を見ていた母親は、「あんた、こういうの得意かと思ってた」と不満を漏らすばかり。Aさんは、「僕と同じiPhoneを買ってくれたら良かったのに!」と思わず逆ギレしてしまったという。さらには母親が「KさんとこもSさんとこも、娘が優しく教えてくれてるみたいだよ」と他人の家の事情を持ち出してきたので、「今まで他人の家は他人の家、と言ってきたくせに。じゃあその娘さんに聞けば? 自分で買ったんだから、自分でどうにかしてよ。僕だって忙しいんだから」と大喧嘩になった。
「本当に勘弁してほしいです。最初からiPhoneや、普通のAndroidを買ってきてくれていれば簡単に教えられたのに……。その後も母は、病院の待合スペースで自分より年上のおばあちゃんに教わったと嫌味を言う始末。購入時は親と一緒に行くか、私がiPhoneを贈るべきでした」(Aさん)