2021年の終わりが近づいてきた。コロナ禍による長い自粛生活は、食生活のトレンドにどんな影響を与えたのだろうか? 振り返ってみよう。
数年前までは、インスタ映えするような、カラフルでかわいらしい食べ物がブームだった。しかし2021年は“かわいい”“きれい”よりも、大きさや見た目に“インパクトがあるもの”“見るからに食べごたえがありそうなもの”に流行がシフトした。トレンドウオッチャーのくどうみやこさんが言う。
「イタリア発祥のスイーツ『マリトッツォ』も、パンからはみ出さんばかりのクリームにインパクトがあり流行しました。また、パンケーキやタピオカのように、有名店で並ぶこと自体に価値があるようなものは衰退。マリトッツォは、コンビニや街のパン屋でも取り扱うようになったこともヒットを後押ししました」
もちろん、既存の外食チェーンも手をこまねいているわけではないと、飲食店プロデューサーのイナダシュンスケさんが言う。
「ウーバーイーツに参入したことで、マクドナルドが外食チェーン売り上げトップとなりました。同じくテイクアウトに舵を切ったサイゼリヤや、『ロイヤルデリ』と銘打った冷凍宅配を始めたロイヤルホストも、自粛生活の需要に応え、売り上げを伸ばしました」
ウーバーイーツや出前館などの宅食サービスが定着したことで、持ち帰り専門のレストランなどが急増したことも、2021年ならではの傾向。特に目立ったのは、唐揚げの専門店だ。イナダさんがこの傾向について解説する。
「宅食サービスは多くがスマホから注文するので実物をイメージしづらく、どんなにおいしくても、なじみのないメニューや量がわかりにくいものには手を出せない。失敗したくないという顧客心理が働くのです。
老若男女から人気がある唐揚げなら“全然おいしくなかった”などということにはまずならないし、味の想像がつくので、注文が集中しやすい」(イナダさん・以下同)